ドラム演奏で疲れてしまう「もう一つ」の原因

ドラム演奏は体を使いますから、疲れて当然という
認識がごく普通だと思います。

しかし実際には、うまくなればなるほど、
体の疲れよりは気づかれ的な要素が増えて来るのです。

しかしそれでもなお体の疲れが目立つ状況にあるなら、
この話は改善のヒントになるかもしれません。

影響かなり大きいのに、見落とされがちで、
しかも練習量のわりに前進が感じられない、
大きな理由の一つでもある。

今日は、そんな話をします。

ずばり、ブレーキの話。

え、ドラムの話じゃないのかって?

まあまあ、落ち着いて。
読んでく内につながりますから。

まずは、ちょっと車の仕組みをイメージしてみて下さい。

協調動作こそが重要!

車に求められる最重要な機能は今も昔も
「まったく」変わっていません。

そう、「走る、曲がる、止まる」ですね。

で、エンジン、操舵系、そしてブレーキ。

これは、車の「走る、曲がる、止まる」を
実現する上で欠かすことのできない、
いわば「最重要エレメント」です。

これらが「協調して」動作することにより、望ましい

走りっぷり・曲がりっぷり・止まりっぷり

を実現するわけですね。

で、今「協調」と言いましたが。

逆に協調してないってどう言うことでしょうか?

それは勘弁して下さい

たとえば、こういう状況はどうでしょう。
車に詳しい方なら当然ご存知かと思いますが、

長い直線にさしかかった!一気に加速だ!

という時に、ものを言うのはエンジンパワーですよね。

で、どれほどエンジンが強力であったとしても、

ブレーキが中途半端に
効いたままだったら?

そうです。

せっかくのエンジンパワーが生かされません。

またあるいは、

ワインディングにさしかかった!
自慢のコーナリングテクを見せ付けてやる!

と思っても、

操舵系の技は微妙なブレーキングとの
協調が不可欠なものが多くあります。

そんな時に、

ブレーキが中途半端に
効いたままだったら?

せっかくのワザが生きてきません。

いや、むしろ、加減を間違ったら事故るかも知れません

おお、怖い。

ブレーキ!

どちらにしても、

ブレーキが中途半端に利きっぱなしな状態だと
何をするにもおかしなことになる

というわけです。

まさに、「それは勘弁して下さい」な状況。

言い換えると、

効く時は効く、不要な時はすっぱり解放!

というのがブレーキに望まれる
特性の一つと言うわけですね。

それがドラムと何の関係がある?

ところで、ドラムって繰り返し動作が多いですよね。

演奏にまつわる動作のほとんどが「繰り返し動作」と
言っても過言ではないぐらいです。

で、もしですよ?

この繰り返し動作の一つ一つが、
実は中途半場にブレーキがかかっている状態
だったとしたら?

それが実はドラミングで感じる疲れの
「大半を占めている」かもしれないのだとしたら?

そのブレーキをしっかり意図してはずすことが
できるとしたら?

そうです。

あなたの持久力は飛躍的に上がることでしょう。

それは当然ながら心の余裕を生みます。

そしてその結果、さらに当然ながら、
楽曲そのものやメンバー・観客の様子などに
より細やかに気を配れるようになるでしょう。

そしてそのために、「周りをよく聴く」ということが
より高い精度でできるようになるでしょう。

私にとっての神の一人であるグルーヴ・マスター、

Bernard Purdieはこう言います。

人の音を良く聴け。
うんと良く聴け。
おつりが来るぐらい聴け

と。

世界一数多くのレコーディングに参加したと言われる
Bernard Purdieの言葉です。

であればこそ、これがアンサンブルを強力に引き立てる
彼の魔法じみたバッキングの奥底にある基本姿勢である
ことは疑いようがないでしょう。

そういう意味では、お呼びのかかるドラマーというのは
身体の疲れよりも気疲れの方がはるかに多くなるような
傾向があります。

しかし…

知らない間に、自分の一挙手一投足に
ブレーキがかかっているのだとしたら…

自分の体・心の余裕を使い果たし、

まわりをよく聞くことも、

そこから様々な気を配ることも、

…難しくなってしまうのです。

気疲れ以前に自分の演奏で物理的に疲れてしまう、
そんな状況にある人を、余裕のある人だと思う人は
なかなかいないでしょう。

重要なことなのでよくチェックしてみて下さい。

疲れてしまってそもそも一曲通して
叩くことが難しい

とか、

パッド練習とかナチュラルな奏法が
それなりに身についているはずなのに、
なぜかひどく疲れを感じることが
多かったりする

とか。

こうした状況に心当たりがあるなら、

自問してみて下さい。

あなたは、知らない間にブレーキを
かけてしまっていないでしょうか?

練習する際には、
特にここに気を配ってみて下さい。


ブレーキがかかっているかどうかの確かめ方、知らずにかかっているブレーキの外し方

「ドラム演奏で疲れてしまう「もう一つ」の原因」への6件のフィードバック

  1. stvjrさん

    明神(あけがみ)です。

    ・・・実は近年まで、「ブレーキの踏みっぱなし」を無意識にしていました。

    しかも私の神の一人・・・Shannon Larkin御大のストロークを真似るという・・・
    「彼のスタイルを知っている人からすれば”確実なる怪我のフラグ”が”建立”してしまう」事をしてました、当時。
    ※Shannon Larkinさんをご存じない方は動画サイトなどで彼の所属バンド「Godsmack」や彼の名前「Shannon Larkin」で検索してみてください。

    何が起こったか?
    ええ、毎回の演奏後の凄まじいまでの腕の張りとLive終了後に接骨院へ行かなければならないほどの痛みです。

    ・・・今ですか?

    Shannon Larkin御大のDVDにDanny Gottliebさんのクリニック動画、Chad Smithさんのプレイ動画およびstvjrさんの助言を頂いて彼の演奏法が大体わかりました。
    ※「何故にこの人?」と思われているでしょうが「密接に関係」してます。

    この「ブレーキ」というのは「本当に外しにくい」と付け加えておきましょう・・・

    明神(あけがみ)

  2. 明神さん

    コメントありがとうございます。

    > ・・・実は近年まで、「ブレーキの踏みっぱなし」を無意識にしていました。
    > しかも私の神の一人・・・Shannon Larkin御大のストロークを真似るという・・・
    > 「彼のスタイルを知っている人からすれば”確実なる怪我のフラグ”が”建立”してしまう」事をしてました、当時。

    ああ、Shanonはフレンチですもんね…
    なおさら怪我しやすい感じがします…

    もしかしてフレンチでフルブレーキ&フルスロットル
    みたいな感じですか?

    そ、それは…大変でしたねえ(苦笑)

    > 何が起こったか?
    > ええ、毎回の演奏後の凄まじいまでの腕の張りとLive終了後に接骨院へ行かなければならないほどの痛みです。

    おお、イタタタ…

    いやいや、冗談ではなく…
    私も似たような経験がありますのでよくわかります…

    お互いこのブレーキから解放されなければ
    とっくにドラムやめてましたね(涙)

  3. stvjrさん

    この記事の「ブレーキ」というのは身体の動かし方や不要な力みといった、身体を動かす上でのブレーキと考えていいんでしょうか?

    脱力に関しての記事かなと読んでいましたが、何か引っかかります。

    というのも私自身、練習時にかなり身体的・精神的に消耗してしまうところがあります。
    といっても腕が張ったりももが痛くなるといったものではないです。
    メンバーに演奏を見てもらったのですが、「消耗するほどの力みは無いと思う」との事でした。

    もちろんchadのような柔軟なストロークはまだまだ身に付いていませんし、脱力出来てないことは重々分かってはいるのですが・・・。

    何かこの記事でヒントが得られそうなので、もう少し読み直してみます。

  4. thirtytwoさん

    コメントありがとうございます!

    > この記事の「ブレーキ」というのは身体の動かし方や不要な力みといった、身体を動かす上でのブレーキと考えていいんでしょうか?

    そうですね…おおむねそう考えてもらっていいと思います。

    > というのも私自身、練習時にかなり身体的・精神的に消耗してしまうところがあります。

    おお、すばらしい♪
    いえいえ、「消耗してしまうこと」自体ではなく、
    そこに気がついていらっしゃるということが、です。

    なぜなら、自覚は「改善の第一歩」だからです!

    > もちろんchadのような柔軟なストロークはまだまだ身に付いていませんし、脱力出来てないことは重々分かってはいるのですが・・・。
    > 何かこの記事でヒントが得られそうなので、もう少し読み直してみます。

    自分の体とよく向き合いながら進めて下さいね。

    とくに、「視覚情報は参考程度にとどめる」という
    点に注意してやってみてください。

    「見た目は結果だ」、ということです。
    当てはめるものではありません。

  5. stvjrさん

    ありがとうございます。
    「見た目で」脱力できている ≠ 「実際に」脱力できている
    ということでしょうか。

    もしstvjrさんの仰りたいことが私の解釈と同じであるなら・・・。

    ひょっとして今までの自分の脱力についての着眼点はかなりずれた方向を向いていたのかもしれないです。

    見た目の先に結果があるのではなく、見た目そのものが既に結果なんですね。(※解釈が間違っていたなら申し訳ないです)

  6. thirtytwoさん

    stvjrです。

    > 「見た目で」脱力できている ≠ 「実際に」脱力できている

    その通りです!

    「見れば分かる」と昔から言われることが多くあります。

    ですが、実際にはこの言い方は、言葉が足りな過ぎて
    誤解を招く場合が多くあります。

    「見ただけで伝わるはずだ、またそうであるべきだ」と
    思い込み、それに闇雲に従った結果、私はあえなく
    ドラマー人生を棒に振る手前まで行きました。

    見た目を信じすぎた挙句、

    伝わらないどころか「誤解・曲解してしまった」

    というわけです。

    特に打楽器の動作ははなはだしく誤解されやすい
    もののひとつである、と私は思っています。

    ことに達人たちの動きは、説明を受けずに見ただけで
    見切れるほど生易しいものではなかったりしますしね。

    > 見た目の先に結果があるのではなく、見た目そのものが既に結果なんですね。(※解釈が間違っていたなら申し訳ないです)

    そうなんです!

    見た目が原因であるなら、たとえば

    Dave Weckl、Steve Smith、Vinnie Colaiutaや
    Jeff Porcaro、Shanon Larkins、Chad Smithらの

    フォームや見た目は素人目にも相当似通ったものに
    なっていないと辻褄が合わないことになってしまいます。

    なのに実際の見た目は各人各様ですよね。

    他の記事でも書いていますが、「リラックス」は
    既にそれ自体が結果です。

    例に挙げたような達人たちは、

    「リラックスという結果」を土台として、
    その上でそれぞれの立場で重要と思える
    要素をブーストしています。

    そのブーストの箇所と度合いが違うから、
    それぞれが異なって見えるだけなのです。

    では、何の結果なのか?

    たとえて言うなら、
    「ブレーキを踏んでいる足を外した結果」
    という感じでしょうか。

    見た目は簡単にしかもえげつなく騙されます。

    見た目ほどではないですが、体感覚も
    ときどき騙されます。

    騙されないのは無理のない自然な道理なんです。

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