再度、と言いましたが今回はお詫びではありません。
残念ながら(笑)。
とっても検索エンジンからのアクセスが多い話題を「ふたたび」。
ずばり、リズムキープの話題です。
もしあなたが、検索エンジンからここにたどり着いたのだとしたら、
おそらくテンポキープのポイントや練習方法を知りたいのだと思います。
その答えを説明する前に、重要なことなのであらかじめお断りしておきます。
ぶっちゃけた話、リズムキープのスキルというのは進化・変化し続けるもので、
追求し始めたら多分一生終わらないテーマのひとつだと思っています。
で、これから語ることも、現時点の私の解釈。
それと、話の中で前提として出てくることも、私なりの仮定であり、
話の進め方も私流の展開になっています。
それとは違う仮定・展開があって全然構わないし、
それで満足行く結果が出るなら素晴らしいわけですからね。
ところで、こういう話題は特にそうなのですが・・・
本当は、ブログの1記事で語りつくせるような話ではありません。
ですが、あえて簡素に簡素にお伝えできるように頑張ってみました。
前置きが長すぎました。
では、まいりましょう。
単刀直入に短い答えを言えば、
「メトロノームを使って練習して下さい」
となります。
しかし、もしかしたら別の情報源でこんな風に言われているのを知って、
迷っているかもしれません。
メトロノームに合わせて練習すると機械的でつまらないリズムになる
型にはまったリズムしか演奏できなくなる
これに関して私の意見を言わせてもらうと、
半分ウソです。
なぜ半分か?
メトロノームの使いようによっては確かにそうなるからです。
つまり、
メトロノームを使うかどうか
ではなく、
メトロノームをどう使うが重要なのです。
あらゆる道具や発明と結局は同じです。
それ自体に善悪や利益・不利益はなく、使いようによってどうにでもなるってことです。
では、どう使えばいいのでしょうか?
ここから先が、「ちょっと長い答え」になります。
そもそも、奏者のテンポのずれが問題になるのはどういう時でしょうか?
正確無比でさえあればいいのでしょうか?
たしかに、一般的には「テンポが正確なのはすばらしい」と信じられているようです。
しかし、古今東西の名演といわれるものが、
実際には必ずしも正確なテンポばかりというわけではありません。
たとえば、私が大好きで今でもよく聴くアルバムのひとつに、
Herbie HancockのChameleonというのがあります。
このアルバムのタイトルナンバー、”Chameleon”は、
どんどんテンポが速くなるので有名な曲です。
どのぐらい変化するのかと言うと、イントロがだいたい92BPMぐらいからスタート。
中盤まででだいたい105BPMぐらいになり、終盤では120BPMを超えます。
ざっくり30BPMほどテンポが変わります。
正確無比こそ善、と信じている方からすれば言語道断な変わりようです。
しかし、どんどん速くなっているから本当に「ダメ」だったのでしょうか?
私はそう思いません。
でも、そう思わなかったのは私だけではないようです。
このアルバムがどれぐらい売れたか=人々から受け入れられたか・・・
ご存知ですか?
ジャズのアルバムでありながら、ポップ・チャートを駆け上り、
150万枚を売ってプラチナ・ディスクに輝いたのです。
もし、「速くなるからダメ」なのだとしたら、この結果はおかしいですよね。
聴いたことのない人は聴いてみて下さい。
すさまじく「気持ちイイ」ですから。
ドラムは名手Havery Masonです。
なので、少なくとも
「正確無比でなければならないというわけではない」
ぐらいは言ってもよさそうですね。
・・・しかし、一方でこういう意見もあります。
同期モノとやっている場合、テンポが変わってしまうのは致命的だ。
確かに、おっしゃるとおりです。
では、なぜ致命的なのでしょうか?
・・・ここに、ひとつのヒントがあります。
ちょっとイメージしてみましょう。
同期モノとやっている場合、奏者のテンポがずれてしまうとどうなりますか?
はい。
そのズレが聴衆に伝わってしまいます。
そこで、聴衆が違和感を感じます。
そして、その違和感にもとづいて
「安心して聴いていられない」
と判定されてしまいます。
・・・ここまでの話で何か気づきませんか?
片や、30BPM近いテンポ変化にも関わらず高い評価を受ける。
片や、そこまで極端ではない変化であっても目立ってしまい、
「不安定」のレッテルを貼られる。
これは何の差ですか?
以前、私が書いた同じテーマの記事(「嗚呼、リズムキープ」)をお読みならお気づきでしょう。
前者は聴いている人が違和感を「感じない」。
後者は聴いている人が違和感を「感じている」。
言ってしまえば、これだけの差でしかないのです。
ですから、大切なのは
いつでもどこでも、どんな場合でも正確無比であること
ではありません。
かと言って、「機械みたいになる」と言い訳しながら
メトロノーム練習をサボり、結局アンサンブルを成立させられない
程度のテンポ感覚しかないとしたら、それは残念ながら、
「論外」
というほかありません。
では大切なのは何か?
それは
常に状況を把握しながら、
最善のアウトプットになるように「調整する」能力
だと私は考えています。
そして、「どのように調整したらよいか」は状況によって異なります。
同期モノならば、自ら合わせる能力を持たないシーケンサー(ないしクリック)と
一緒に演奏しても違和感がないように、
奏者側のテンポを「調整する」ことが求められるわけです。
また、フロントが走ってしまったのなら、それが浮き上がってしまわないように、
テンポを追従してあげる。ただし、完全にフロントに追従し切るのではなく、
バンド全体が聴衆から聴いて違和感を感じるほど走ってしまわない程度に抑える・・・
という調整をするわけです。
このように、アンサンブルが破綻しないように調整することを
「合わせる」と言ってるのです。
はい。
ここまで読んで、勘のイイあなたは気が付かれたかも知れません。
メトロノームの使い方を。
メトロノームは、あなたのテンポ感覚を融通の効かない機械的な正確無比さに
鍛え上げるために使うものではありません。
いつでもどこでも共演してくれる、あなたのアンサンブルの
(少々融通の利かない)相手として使うのです。
長くなるので、一旦まとめます。
- 正確無比ならいいというわけではない。
- アンサンブル全体が最善になるように常に調整することが大切。
今日はこれだけ理解して下さい。
明日必ず続きを書きます。
違うサイトでメトロノームで練習するとメトロノーム依存になるなどと書かれておりメトロノームは実際どのように使うのかまた、使ってはいけないものなのではないかと迷っていました。
凄くわかりやすい説明でメトロノームを上手に使うことで上達することが出来ると書かれていて
なるほどな納得しました。ありがとうございます
コメントありがとうございました。
納得いただけたようでよかったです。
がんばって上達して、もっともっと楽しんで下さいね!