動画の落とし穴

あなたはもしかして、ビデオやDVDの教材をたくさん見て、
テクを盗もうとたくらんでる?

それなら、この話を知っておいた方がいいかも知れないよ。

何でかって言うとね。

そのビデオやDVD、めんどうなので「動画」って言ってしまうけど、
そこからあなたが得るものが減ったりするかもしれない。

つまり、もっとたくさんのことが得られるはずのに、
それを取りこぼしてしまうかもしれないということと…

場合によっては「逆効果」になってしまう可能性があるから。

つまり、あなた自身の時間やエネルギーを
ロスしてしまう可能性があるからなんだ。

もちろん、多少の回り道は必要だし、味わって欲しいと思うんだけどね。

でも、余りにも回り道し過ぎて、道のりの途方もなさに失望して、
「もう、ドラムやめた!」となってしまったら…
今までやって来たのにもったいないし、あなたも悲しいよね。

だから、そうならないためのヒントを、今日もひとつ伝えておくよ。

いきなり結論を言ってしまうと、

あなたの目は真実を捉えていないことがある

ということを知っておいてほしいんだ。

いやいや、目の錯覚とかそういう話ではない。
メディアの特性の問題と言った方がいいかも知れない。

どういうことか?

テレビとか映画がどうして動いて見えるか知ってるよね?

そう、基本はぱらぱら漫画だ。

動きの過程を分割してそれを素早く切り替えて見せられると、
人間の目はそれを「動いている」と錯覚する。

これを利用して、テレビや映画は「動き」を表現しているわけだ。
正確な数字は調べてみて欲しいんだけど、映画などでは
1秒間に24コマ切り替えている。

(厳密にはテレビはコマ送りではないが、まったく違う方式でもない)

逆に言うと、1秒間の動きを24分割しているということになる。

ここまでは、普通に知られていることだよね。

だから、どうしたのかって?
あわてない、あわてない。

たとえばさ、二つ打ちのような細かく素早い動きを解説する
動画があったとしようか。

例として、テンポ120で32分音符を二つ打ちで演奏している、とする。
かなり速めの二つ打ちで、ほとんどロールだね。

厳密な計算は省略するけど、このぐらいのスピードになると
「動画」で表現するのがかなり厳しいんだよ。

つまり、スティックの動きを描き切るのに、コマ数が足りないことがある
ってこと。

それだと何が困るのかって?
うん、説明するから。

ちょっと想像力を働かせてね。

左から右へ1秒かけて移動するボールがあったとしよう。

これを動画で表現すると、まず最初のコマはボールが一番左にある。
次のコマは、それよりほんの少しだけ右に移動してる。
その次は、それよりまたほんの少し右…

という感じで前のコマに対してほんの少しだけ変化した絵
次のコマになる。

だから、滑らかに動いて見える。

いいかな?

滑らかに動いて見えるためには前の絵と次の絵との違いが
「ほんの少しだけ」であることが前提として必要なんだ。

変化が「ほんの少し」でなかったらどうなるだろう?

考えられる可能性は2つあるね。

ひとつは、「動きがギクシャクまたはカクカクして見える」。

もうひとつは「違う動きに見えてしまう」。
たとえば、動きのある部分だけが非常に素早いものに見えたりする、ということだ。

ひとつめの、「ギクシャクして見える」というのは、恰好悪いけど、
大きな問題にはならないよね。

ディテールがもの足りない、あるいは安っぽく感じる、というだけだから。

でも2つめは大きな問題だ。

なぜかって?

だって、それを「見たまま」捉えて解釈したらさ。

あなたは動きを誤解してしまうんだ。

その誤解が、理にかなったものならまだいいよ。

でも、「理に適わない動き」として捉えてしまったらどうなるんだろう。

物理的に無理かもしれない動きを、
あなたは「一生懸命練習してしまう」かもしれない。

その結果、どこかケガをするかもしれない。

なかなか思うように上達しないかもしれない。
(理にかなわないのだから当たり前だけど…)

そして、嫌気がさして投げ出しちゃうかもしれない。

どう?

ちょっと考えて。

あなたはその動画から「動き」を学び取りたいんだよね?

でもその動画が伝えようとしている「動き」が、
そもそも誤解される可能性が決して低いものではないのだとしたら?

伝わるかな。

これってどう考えても損な事だと思うのは俺だけかな?
できれば、こういう落とし穴にははまりたくない。

そのためにはどうすればいいのか?

ここに、「理屈」の重要さが出て来るんだ。

あなたが、「自然の摂理にのっとった動き」をしっかりと
イメージできるなら、この落とし穴にはまることはそうそうない。

だから、動画教材を見て、見よう見まねで練習する時も
注意して欲しいんだ。

練習してみてどこか痛くなったり、
動きや体のどこかに違和感を感じるようになり、
それがしばらく続いたりするようなら…

その練習をやめて欲しい。

これは意地悪ではなくて、あなたの体のためだ。

もしそうなってしまうなら、それは、
あなたが教材で紹介された動きを誤解している
可能性があるということなんだ。

今日のところは、「動画は見たまま解釈すると危険なことがある」
ということだけ、まずは覚えておいて欲しい。

この話は、いずれもう少し突っ込んで語ろうと思う。

「動画の落とし穴」への2件のフィードバック

  1. なるほど〜!

    実践的で最高のアドバイス!
    ありがとうございます。

  2. ありがとうございます。

    何かのお役に立ったのであれば幸いです!

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